教員志望の方の中には、公立と私立どちらにしようか悩んでいる方も多いと思います。そんな皆さんが気になるのはやはり給料事情ではないでしょうか?
特に、私立学校の給料事情はネットで検索してもあまり詳しく書いていません。私が大学生のときも、私立の給料事情がなかなか調べられずに困っていました。
そこで、私立学校を3校経験した現役私立学校教師が、公立と私立の給料事情を徹底解説します!
今回の記事では、「私立の先生の給料は公立の先生より高いの?」「公立と私立で給料の仕組みはどう違うの?」そんな疑問に答えていきたいと思います。
結論
まず先に結論をお伝えします。私立学校の教員の給料には、公立と比べて次のような特徴があります。
- 平均年収は公立より少し高い
- 頑張りが給料に反映されやすい
公立教員の年収は約650万円!その仕組みとは?
公立学校の教師の平均年収は約650万円です。公立学校の給料事情は様々なサイトで紹介されているので、調べるのはそこまで難しくありません。
ここでは、他のサイトではあまり書かれていない情報をご紹介します。
公立は年功序列で給料が決まる
公立の場合、給料の決まり方はシンプルで、各都道府県が定めた給与規定に則り年功序列で決まります。
また、勤務地に応じて「地域手当」がもらえます。例えば、離島の学校などに着任した場合はこの地域手当の額は大きくなります。
次に詳しく解説しますが、役職手当は支給される役職とされない役職があります。
手当がつく役職、つかない役職の違いとは?
手当てが支給される役職
「校長」「教頭(副校長)」「主幹教諭」「指導教諭」「主任教諭」などの肩書がつくと、他の教員より多く給料がもらえます。あまり聞きなじみのないものもあると思います。役職というよりは、「階級」というイメージを持っておいた方がよいかもしれません。
これらの肩書を得るためには、昇進試験合格、校長の推薦、教職経験年数の条件を満たすことなどが必要になります。
手当てが支給されない役職
一方、「学年主任」「担任」「教務主任」「生徒指導主任」「進路指導主任」などの役職は特に手当てが支給されません。
これらの役職は、教育委員会が定めるものではなく、各学校で独自に定めるものだからです。
「学年主任」と「担任」を比べると学年主任の方が偉いから給料も高そうな気がするかもしれません。しかし、実際は役職の違いによる給料の差はないということになります。
私立学校教師の平均年収
私立学校教師の平均年収は公立より少し多くなります。なぜ具体的な金額を挙げないのかというと、私立学校の教師の平均年収の信頼できるデータがないからです。
文部科学省の「令和4年度 学校教員統計調査」によると、平均「月収」のデータは次のように出てきます。
- 公立高校 35.3万円
- 私立高校 35.5万円
ただ、これはあくまで「基本給」の平均であり、年収はこれに様々な手当てやボーナスを加えて計算することになります。私立の場合、公立よりも基本給以外の手当てが多い傾向にあるため、年収も少し多くなることが予想されます。
私立は学校によって大きく変わる
私立教員の給料の特徴として、学校によって給料が大きく異なるという点があります。
実際、私も前の学校から今の学校に移ったことで、年収が約100万円もアップしました。現在は、公立の平均年収を大きく上回る給料をいただいています。
一方で、公立学校よりも給料が低い学校があるのも事実です。生徒数が少なく、経営状態が危うい学校などに多いケースです。
ただ、全体の傾向としては、公立学校の給料と同じくらいになるように定めている学校が多いようです。
私立の教師は努力が給料に反映される
私立教員の給料の特徴としてもう一つ挙げられるのは、頑張りが給料に反映されやすいという点です。
例えば、私立では公立にはない手当てがもらえることがあります。「残業手当」「休日勤務手当」「役職手当」「夏期講習手当」「入試手当」などです。
これらの手当は、「働いた分だけ給料が増える」という、非常に分かりやすく公平な仕組みです。「多く働いた分だけ多くもらえる」というのは当たり前のように感じるかもしれませんが、公立の学校にこのような仕組みはありません。
また、私立学校では事情によって、ボーナスが増額されることがあります。例としては、生徒募集を頑張ったことで、生徒数が増えて経営状況がよくなるケースなどが挙げられます。これも頑張りが給料に反映されやすい仕組みだといえます。
まとめ
ここまで、公立と私立の教員の給料事情を比較してきました。最後にもう一度、ポイントを整理しましょう。
公立学校と私立学校の給料には次のような特徴があります。
- 平均年収は私立の方が公立より少し高い
- 私立は公立と比べ、頑張りが給料に反映されやすい
ただし、私立の場合は学校によって大きく事情が異なるため、慎重に勤務校を選んでいく必要があります。
「給料が高い私立学校の見分け方」については他の記事で紹介していきます。