私立学校の教員を目指すなら避けて通れないのが、「専任」「常勤」「非常勤」といった雇用形態の違い。
特に新卒の方にとっては、「どれを目指せばよいのか?」「違いは何なのか?」といった疑問も多いはずです。
本記事では、それぞれの雇用形態の特徴と、新卒が取るべき戦略について、実際の採用現場に即してわかりやすく解説します。
結論:新卒は「専任」「常勤」「非常勤」どれになってもよい
最初に伝えたい大事なことは、新卒は「どの雇用形態であってもOK」ということです。
その後どう動くかの方が重要です。
専任教諭の特徴
- 週5日勤務
- 学校によっては「教諭」という名称
- 正社員と同様の扱いで、契約期間なし
- 解雇されることは基本的にない(本人希望を除く)
- 業務内容:授業、学級経営、校務分掌、部活動など
- 授業コマ数は週16コマ程度
- 原則として担任や学年主任などを担当(1年目は副担任が多い)
- ボーナスあり
- 新卒での採用は非常に狭き門。有名校ではまず無理
- 基本的に、皆ここを目指している
- 【重要】35歳以上は応募不可の学校が多い
こんな人におすすめ:
とにかく安定したい/授業以外の仕事も経験したい
常勤講師の特徴
- 週5日勤務
- 学校によっては「専任講師」と呼ばれる
- 契約期間は1年間
- 担任をもつことはほとんどない
- 仕事内容・給料・ボーナスは専任教諭とほぼ同じ
- 専任よりも採用されやすい
- メリットは退職しやすいこと(転職にも便利)
- 「専任の下位互換」という立ち位置
こんな人におすすめ:
専任にはなれなかったけど、授業以外の経験も積みたい人
常勤講師の契約期間終了後はどうなる?
パターン | 内容 |
---|---|
専任に昇格 | 理事会での決定が必要。採用試験でアナウンスがある場合も。 |
もう1年継続 | 同じ待遇で再度契約更新。 |
契約終了 | そのまま退職となる場合も。 |
- どのパターンかは自分では選べない(学校が決定)
- 採用試験の段階で分かる場合もあれば、事前にわからないことも
- 面接では必ず確認すべき
→もし濁されたら、専任にはなれないと考えておこう - 正式な決定は遅くとも9月ごろ(理事会の決裁を経て)
- 募集要項の「専任登用あり」表記は必ずチェック
→書かれていなければ、専任への道はまずない - 学校によっては、専任登用のために再度試験を受ける必要あり
- 専任昇格が不透明な場合は、他校の試験も受けておくべき
→6月になっても話がなければ、すぐに動き出そう
非常勤講師の特徴
- 授業のある日・ある時間のみ勤務
- コマ数は学校や教科により異なる(週5〜20コマ)
- 給料は「1コマ=月1万円」が目安
→週20コマ=月20万円程度 - 実際の出勤回数ではなく、月額固定で支給されるケースが多い
- 授業コマ数によっては専任・常勤よりも高収入になることも
- ボーナスなしが一般的
- 希望の曜日や時間帯を相談できる場合が多い
- 業務は授業とその関連業務のみ(テスト作成・採点など)
- 複数校かけもちも可能
- 副業しやすい/大学院進学との両立も可
- 採用ハードルは最も低い
- 非常勤から専任に昇格する例も稀にあり
こんな人におすすめ:
授業に専念したい/教師の仕事に不安がある/副業したい/時間の自由がほしい
新卒が人気校の専任教諭になるための戦略
- 有名校の専任教諭に新卒でなるのは、ほぼ不可能と心得る
- だからこそ、新卒時点では「どの雇用形態でもOK」というマインドが大切
- まずは専任を目指して試験を受け、それが無理なら常勤・非常勤へとシフト
- 専任・常勤の強み:多くの業務を経験した即戦力として転職時に有利
- 非常勤の強み:時間がある分、採用試験対策がしやすい
- 無名校の専任より、有名校の非常勤の方が評価されることもある
- 非常勤でも、なるべく知名度の高い学校を選ぶのが得策
最後に:長期戦になる覚悟も必要
- 専任教諭になるには、10年以上かかる人も珍しくない
- すぐに結果が出なくても焦らなくて大丈夫
- ただし、35歳を過ぎると専任になれる学校は激減
→若いうちにチャレンジを重ねておくことが重要